「そして、バトンは渡された」

毎年、お正月は図書館から読みたい本をたっぷり借りて、美味しいものや美味しいお酒を並べて読書にふけるというのがお楽しみになっています。

今年の1冊、「そして、バトンは渡された」(瀬尾まいこ)
優しいお話しが読みたくて。
狙い通り、優しい人たちがたくさん登場して、
思いやりや真っすぐさに、泣きました。

一人暮らし30年。
私にとって、ひとりでいることは、自由で気楽で落ち着くことで、
誰かと同じ屋根の下で生活することを考えると不安になるくらいだけど、
こんなお話しを読むと、いいなぁ、と思ってしまいます。
自分たちの「家族」というスタイルを、自主的に作っていくことに、憧れます。

思いやりって、難しい。
押しつけになってしまうんじゃないかと、いつも頭で考えて、躊躇してしまうことが多い。
だから、相手の思いやりを受け取るのも下手です。

主人公の女の子は、血のつながりのないお父さんが作ってくれる料理を、
心の中では゛朝から重い”とか゛量が多すぎる”とか思いながらも、
相手の気持ちをしっかり受け止めて、いつもちゃんとたいらげます。
目の前に並べられたものは、料理という形に現れた相手の心であることを、
ちゃんと見据えているのです。

それからもうひとつ、
いちばん大切なことは何かを知ること。

女の子が学校でいじめを受けたときも、冷静に
「友達がいちばん優先すべきことではない」と考えます。
それは経験に基づく冷静な思考でもあるけれど、
相手の思いやりを素直に受け止めることができる人の考え方でもあるように感じます。

相手のこころの本質を見抜くこと。
いちばん大切なことは何かを見抜くこと。

この2つが「優しさ」に不可欠であるように思ったのでした。




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